このプロジェクトは2013年の2020年東京五輪開催決定を受けて発足しました。残念ながら構想は実現しませんでしたが、プロジェクトの記録としてこのウェブサイトおよびGoogleドキュメント(趣意書設計ガイドライン)などの関連コンテンツは残してあります。
観光情報インフラ整備計画

ハイパーピクトグラム構想

ウェブ上の観光情報(主に施設情報とイベント情報)について、「ローコストな多言語化」と「検索性向上のためのタグ付け」を一気に実現する公共事業「ハイパーピクトグラム整備事業」を提案します。その目的は「アクセシビリティ」を向上させることです。

アクセシビリティとは「アクセスしやすさ」のことです。「情報にアクセスしやすいこと」や「物理的に、施設にアクセスしやすいこと」を意味します。いわゆる「バリアフリー」は、アクセシビリティを向上させるための一手段だと言うことができます。

なぜアクセシビリティが重要かというと、「ほかの人がアクセスできるものに、自分もアクセスできること」は基本的人権に関わるからです。とくに、無料で提供されている公共の施設や情報へのアクセスについては、原則としてすべての人が平等にアクセスできるべきです。ですから公共においてアクセシビリティは重要なのです。

2020年東京五輪に向けたハイパーピクトグラム構想 (Rough Ideas on Hyper Pictogram for Tokyo 2020):

ハイパーピクトグラム構想の概要

ピクトグラムを収集して多言語化

現在利用されているピクトグラムを収集し、カタログサイトに掲載します。そして、カタログサイト上で多言語化していきます。つまり、説明文を各国語に翻訳していきます。

温泉 / Hot spring

上図は交通エコロジー・モビリティ財団が提供している「標準案内用図記号」のなかの「温泉」のピクトグラムです。このピクトグラムには、日英併記で「温泉」「Hot spring」という説明文がつけられています。これを多言語化します。例えば中国語(繁体)の「溫泉」や、韓国語の「온천」といった説明文を用意します。

ハイパーピクトグラムの利用シーン

2020年のAR(拡張現実)技術を想像しましょう。グーグル・ゴーグル (Google Goggles)などの「スマート・グラス」と呼ばれるメガネ型のデジタル機器を利用すれば、街頭の案内板や標識に描かれたピクトグラムの説明文を多言語で提供できるようになります。これはとくに視覚障碍や識字障害の人にとってのアクセシビリティを大いに改善します。

また、例えば「周辺のバリアフリー・トイレがある施設」のような詳細な施設検索が可能になります。ハイパーピクトグラムはリンクト・データ (Linked Data) として実現されるので、簡単に言うと、施設情報やイベント情報のような観光情報のウェブページにハイパーピクトグラムを貼ると検索エンジン対策(SEO)になるのです。

現実空間の標識には空間的制約があるため、多言語化には限界があります。単純に文字を書くためのスペース(面積)の問題です。しかし、ユーザーのデジタル端末に情報提供するならば、そのような空間的制約とは無縁です。現実空間のピクトグラムが持つ空間的制約を、情報技術で乗り越えられるということです。これが実現すれば「観光立国」という政策目標に大きく寄与します。

ハイパーピクトグラムは情報提供者も簡単に利用できる

ある施設に「温泉」のハイパーピクトグラムを「貼る」という操作を具体的にイメージしてみましょう。ピクトグラムカタログサイトから「温泉」のピクトグラムを検索し、そのピクトグラムのHTMLコードを貼り付ける(コピー・アンド・ペーストする)だけです。とても簡単ですし、一連の作業は日本語のみで行うことができます。

施設やイベントの情報のなかで、ピクトグラム化できる情報はたくさん(おそらく数百・数千のオーダーで)あります。例えば「駐車場あり」「禁煙」「車椅子可」「音声案内あり」「英語応対可」「クレジットカード利用可」「ハラルフード提供可」など。それらをピクトグラム化したうえで、多言語化することで、すべての人にとってのアクセシビリティが大いに向上します。

無料で自由に使えるピクトグラムのカタログサイト

ハイパーピクトグラムを政府機関・自治体・企業等が無料で自由に利用できるようにしなければなりません。そのために、自由に使えるピクトグラムのカタログサイトを作ります。

※資金調達手段については検討中です。

プロジェクトの現状

2014年12月現在、カタログサイトのプロトタイプ(https://hyperpictogram.github.io/)を開発中です。

下記の協力を募集しています:

  • RDFの設計に関する協力
  • ピクトグラムの調達や権利処理に関する協力
  • 用途開発に関する協力

更新履歴

  • 初版:2014-04-15
  • 第2版:2014-09-12
  • 第3版:2014-10-08
  • 第4版:2014-12-10

本件にご関心をお持ちの方へ

Facebookグループ(tourinfo.jp)で観光ICTに関する情報交換や議論をしています。お気軽にご参加ください。あるいは発起人石橋秀仁メールFacebookへお気軽にコンタクトしてください。

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